著作権延長の是非


昨年来話題になっている著作権保護期間の延長議論に関して面白いコラムを見つけた。

結論から言えば、私は著作権保護期間の延長に反対だ。

だいたいに於いて何故死後何十年も権利が保護されなければいけないのだろうか。
確かに特異な才能によって生み出された作品は作者が独占的に利益を享受できてもいいと思うが、死んでまで利益を追求する必要があるのだろうか。
しかも、現行法でも50年間も保護されているのに、更に伸ばして何の意味があるのだろうか。
自分の死後、家族の生活を守りたいという想いもあるようだが、死後50年と言ったら子供だって死んでいる可能性が高い年数。
生涯親の残した遺産で生活が守られるなんて甘ったれた環境にするのは教育上良くないだろう。
どう考えても商業主義的な考えが裏にあるようで寂しい気がする。

本当にいい作品ならパブリックドメインになっても作者は賞賛されるし名声は残り続ける。
変な商業主義で保護され続け、いい作品であっても死蔵となり後世の人達の目に触れることが無くなることの方が不幸じゃないだろうか。

知財立国という名目で著作権保護期間が延長されるなら、特許権の有効期間の延長も議論してみてはいかがだろうか。

私は仕事柄何件かの特許を出願し、権利が認められたモノもある。
しかし、特許権は出願から20年でパブリックドメインになり、誰でもその技術を使って製品を作ることができるようになる。
パブリックドメインになった後もその技術が使われていたとしても、私には1円の利益ももたらされることがない。

いい例がジェネリック医薬品だ。
最近よくCMなどで聞く言葉だが、簡単に言えば特許権が切れた薬の成分を真似てコピー商品を作っているだけだ。
薬を開発した人達はジェネリック医薬品がいくら売れても利益にならない。
だから新しい薬を開発し、薬効が高く副作用の少ない付加価値の高い薬を売って儲ける。
そういう切磋琢磨がいいモノを生み出しているはずだ。

死後何十年と保護される権利にしがみつくのではなく、新しい付加価値の高い作品を生み出して行く方が建設的で健全だと思う。

コラムのサブタイトルにある『著作権保護は「創作から5年」で十分』という言葉にとても共感する。
真の知財立国を目指すなら既得権益を保護するのではなく、新しいモノを生み出そうとする意欲を掻き立てるような政策の方が重要なのではないだろうか。

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