夏の電力不足をどう乗り切るのか


ここ数日は東京電力の計画停電も行われず、電車も通勤時間帯は通常ダイヤに戻ってきた事もあり平穏な生活に戻りつつある。
そんな中、次なる関心事は夏の電力不足はどうなるのかと言ったところ。

昨年のピーク需要は6,000万kW以上。
今年は節電効果などを踏まえて5,500万kW位の需要と東京電力はみているらしい。
それに対し、今のところ確保できると思われる電力は約4,600万kWと発表されている。
900万kW足りないと言う事だ。
これは需要に対して15%の不足という事になる。

では、この900万kWはどうやったら補えるのか。
政府は電力使用制限令を発動して乗り切ろうという考えだが、これは一時凌ぎでしかなく経済活動への影響もあるため継続的な対策にはならない。
今年の夏はみんなが頑張って凌いだとしても、次の冬はどうするのか、来年の夏は?と言う話になる。

そもそも900万kWがどれ位だか想像しがたいので調べてみた所、900万kW発電するのに必要な発電所は

  • 原子力発電なら7~8基
  • 火力発電なら9~10基
  • 水力発電なら180基以上

という規模らしい。
(水力はダムの規模によって発電量のバラツキが大きいので平均的な所で計算)

東京電力管内の発電所の状況を見ると、福島第一・第二原発は再稼働させるのは難しいだろうから省くとして、柏崎刈羽原発に定期点検中の原発が3基あり、これを動かせば330万kW賄える。
更に地震の影響で止まっている火力発電3箇所7基が全て再稼働すると、これだけで約500万kW。
合わせて800万kW位の発電能力があることになる。
柏崎刈羽原発を再稼働させることには反対意見も多数あるだろうし、地元自治体が同意するかどうか不透明なので現実的かどうかは分からない。
しかし、全ての発電所がフル稼働すればかなり状況が改善する事がわかる。

壊れた発電所を直したり、発電所を新設するには時間がかかるかもしれないので、他の電力会社からの電力購入を増やす事も改善に役立つかもしれない。
東北電力は地震によって被害を受けているので無理として、東京電力管内に隣接する中部電力や北陸電力、関西電力から購入を増やす事で、少しでも状況を改善させる事ができるだろう。
但し、これにか大きな壁がある。
周波数の違いというやつだ。
現状でも各電力会社から供給を受けているが、周波数変換する施設のキャパシティが100万kWしか無いため、これ以上の供給を受けることができない。
この際だから周波数を日本全国で統一したらいいじゃないかという話も出ているようだ。
周波数を統一すればもっと沢山の電力供給を受けられるのでいいかもしれない。
ただ、電化製品を新しい周波数に合ったものに交換する必要があるので「地デジ化」なんかより大がかりなことになってしまう事は間違いない。
一般家庭用の機器の多くは50Hz/60Hzのどちらでも使えるものが多いので影響は少ないかもしれないが、工場などで使っているモーター等は交換・改修が必要になってくるだろうから大変だ。

他に900万kWを発電する手は無いか考えてみた。
まず思いついたのは家庭用の太陽光発電を設置するという方法。
一般的なものだと3.5kW発電できるようなので、約260万世帯に設置すると900万kWになる。
設置にかかる費用は1基200万円程らしいので総額5兆2千億円となる。
国や自治体の補助金制度を活用すると1軒あたり60~140万程の補助が出るそうなので、設置費用の半分を補助金で賄い、残りを東京電力が負担して一気に太陽光発電を増やすというのも一手かもしれない。
但し、この方法の欠点は昼間しか発電できないという事と、天候によって発電量が変動するので安定的では無いという事。

同じように家庭で発電する方法としてエネファーム(燃料電池)がある。
しかし、こちらは1基で0.75kWしか出力できないようだ。
そうなると900万kW得るためには1,200万世帯に設置しなければいけない。
費用は太陽光発電よりも若干高く260万円程となり、総額31兆円以上となってしまう・・・
しかし、太陽光発電と違って天候に左右されず発電が可能なのでメリットはある。

はてさて、東京電力は、そして政府は解決策を何処に見いだしていくつもりなのだろうか。

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